慶應義塾
有志の会
Keio Protesting
against
Security-related Bills
こちらは「慶應義塾有志の会」のサイトです。類似した名称の団体にご注意下さい。
私たち慶應義塾有志は、学問と教育を重んじる者として、日本という国が言葉の硬直化と思考停止に陥ることを止めるべく、民主主義の基礎である言論、議論による闘いを、これからも継続していきたいと考えます。(2015年9月19日)
松沢裕作
粂川麻里生
赤江雄一
大串尚代
高草木光一
高橋優
高桑和巳
高月昭男
飯田敦子
難波ちづる
針貝真理子
野口方子
酒井規史
酒井充子
速水紫乃
速水淑子
西川葉澄
西尾宇広
藤谷道夫
芦野文武
細谷 享
粂田 文
笠井裕之
竹村英樹
福田桃子
福中冬子
石川 学
石川大智
石光輝子
矢野 久
白濱圭也
田中 愼
犬丸 治
瀧本佳容子
澤田唯人
渡名喜庸哲
涌井昌俊
津田眞弓
河田卓也
池田美月
江面快晴
武田晴人
植田浩史
森川剛光
梅澤華子
柳沢 遊
柏崎 千佳子
杉岡洋子
本田京子
朝吹亮二
有末 賢
有川智己
有光道生
御園敬介
平高史也
平田栄一朗
市川 崇
巽 孝之
川添美央子
山道佳子
中島万紀子
中島 智
上野大輔
三瓶 慎一
三宅 舞
ヨッホ、マルクス
まきみつえ
マエキタミヤコ
こんと
ガボリオ・マリ
伊藤公平
菅田正道
他・13名
内閣総理大臣の日本学術会議会員
任命拒否に対する声明
2020年11月3日
「自由の気風は唯多事争論の間に在りて存するものと知る可し」
(福澤諭吉『文明論之概略』1875年)
私たちは、日本学術会議第25期新規会員任命に関して、同会議が推薦した会員候補者のうち6名が任命されなかった理由を説明すること、また、任命されなかった6名の速やかな任命を求めます。
菅内閣総理大臣は、2020年8月31日付で日本学術会議が推薦した第25期新規会員105名のうち、6名を任命しませんでした。加えて、この任命拒否について、内閣総理大臣は「総合的・俯瞰的」な見地からの判断であるとの説明を繰り返すのみで、具体的にこの6名のみを任命しなかった理由を明らかにしていません。このような事態に、私たちは深い憂慮を抱いています。
日本学術会議法の第7条第2項および第17条は、その会員について、日本学術会議の推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命すると規定しています。この条文は、これまでの国会の政府答弁では、「形式的」なものであって、実質的に人選を左右するものではないとされてきました(第98国会参議院文教委員会、昭和58年5月12日)。
もし、この解釈を維持するならば、今回の内閣総理大臣の任命拒否は違法行為です。また、解釈が変更されたのであれば、解釈変更が必要となった合理性を説明しなければなりません。百歩譲って、これが違法でないという政府の主張が成り立つと仮定した場合でも、法が「推薦に基づいて任命する」と記している以上、任命しなかった場合には、あえて推薦に基づかない措置をとった理由が、具体的に明らかにされるべきです。しかし、上記のいずれの説明も現在までのところ行われていません。
行政には裁量の余地があります。しかし、特段の理由も説明もなく、何らかの措置が行政権の発動としておこなわれるとしたら、これは行政権の恣意的な行使です。今回のような措置が可能だとすれば、それは、研究者に対してのみならず、誰に対しても恣意的に行政権を発動することが可能になります。そうした恣意的な権力行使の可能性のもとでは、人びとの言論は萎縮せざるをえません。不透明な行政権の行使は、それだけで自由な言論への脅威なのです。そして、学術研究は自由な見解の表明と、相互批判に基盤を置いています。自由な言論が脅かされる社会では、当然に学問の自由もまた、危機に瀕することになります。
わたしたちは、以上の理由から、内閣総理大臣が、自ら今回の措置に対する十分な説明をするとともに、任命を拒否された6名を速やかに任命することを求めます。
2020年11月3日
慶應義塾有志
【賛同者・順不同】
川村文重
岡原正幸
山本 裕
山下一夫
寺尾恵仁
寉田 健吾
宮本万里
太田 淳
大西 広
大和田俊之
境 一三
坂手洋二
吉川龍生
原 大地
北村洋基
加藤伸吾
内藤 耕
児玉俊一
倉沢愛子
佐藤正樹
佐藤孝雄
佐藤元状
佐々木鳴実
佐々木智美
伊藤正人
伊藤未明
伊藤一彦
井手英策
二村ヒトシ
中谷彩一郎